困ってから動く人ほど、選択肢を失っていくという話

何かあったとき、多くの人はちゃんと「正しい動き」をします。

親が倒れたら救急車を呼ぶ。
入院したら病院の連携室に相談する。
退院後はケアマネと話しながら、制度やサービスを使っていく。

ここまで読んで、「いや、それ以外に何があるの?」と思う方も多いと思います。
実際、間違っていません。むしろ自然な流れです。

ただ、現場にいると、こんな言葉をよく耳にします。

「もっと早く知っていれば…」
「そんな選択肢があるなんて聞いていなかった」
「気づいたら、もうどうにもならなかった」

これ、誰かの知識不足が原因という話ではないんですよね。
制度が悪いとか、専門職が頼りないとか、そういう話でもない。

「困ってから動く」という構造そのものが、けっこう厄介なんです。

本当に困っているとき、人は落ち着いて考えられません。

時間もないし、気持ちも追いつかない。
判断を急がされる場面も多いです。

結果として、
「今できること」「目の前で提示されたこと」を選び続けることになります。

それ自体は仕方ないですし、責められることでもありません。
でもその過程で、

・実は他にもあった選択肢
・もう少し余裕をもてた方法
・後回しにしてよかった判断

こういったものが、静かに消えていくことがあります。

制度は「今」を助けてくれます。
専門職は、それぞれの役割をきちんと果たしてくれます。

一方で、
暮らし全体を少し引いて眺める時間は、あまり用意されていません。

・いま何が起きているのか
・どこは動かせて、どこはもう動かせないのか
・何を急がなくていいのか

こういう整理って、実はすごく大事なんですが、
誰かが勝手にやってくれるものでもないんですよね。

このブログを書いている私は、
何かを決断してあげる人間ではありません。

制度の裏技を教えたり、
「これが正解です」と断言するタイプでもないです。

どちらかというと、
状況を一度言葉にして、頭の中を整理する役に近いと思っています。

答えを出す前の段階。
多くの人がすっ飛ばしてしまうところです。

このブログでは、
いわゆる「正解」はあまり書かないと思います。

その代わりに、

・なぜ行き詰まりやすいのか
・なぜ同じところで悩む人が多いのか
・なぜ善意や努力が空回りしてしまうのか

そういう構造の話を、淡々と書いていくつもりです。

困る前に読む人もいるでしょうし、
困りきったあとに振り返る人もいるかもしれません。

どちらでも大丈夫です。

ただ一つだけ、現場で感じていることがあります。

考える余地があるうちに、言葉を持っていた人のほうが、あとで後悔が少ない
――その傾向は、かなりはっきりしています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました