なぜ人は「本当に困ってから」では動けないのか

「もっと早く相談していれば…」
福祉や医療の現場にいると、何度も聞く言葉です。

でも、正直に言えば
それができないから困っているのが現実です。

困っている人ほど、相談に来ない

地域包括支援センターの方から、こんな話を聞いたことがあります。

潜在的に困っている人は本当にたくさんいる。
でも、自分から相談に来る人は、ほとんどいない。

これは高齢者だけではありません。
障がいのある方、その家族、生活がギリギリの世帯——
すべて共通しています。

理由は単純で、
「困っていることを、うまく説明できない」からです。

人は“整理できない状態”では動けない

多くの人が想像する「相談できない理由」はこうです。

■忙しいから

■面倒だから

■プライドがあるから

でも、現場で見てきた実感は少し違います。

頭の中が整理できていない状態では、人は行動できません。

■何が問題なのか分からない

■どこから手をつけていいか分からない

■誰に聞けばいいか分からない

この状態で「相談してください」と言われても、
それ自体が負担になります。

「困りごと」は、ある日突然起きるわけではない

暮らしが崩れるときは、
たいてい静かに、段階的に進みます。

たとえば——

■ヘルパーの利用が少しずつ増える

■自費サービスが当たり前になる

■家の中が片づかなくなる

■お金の管理を家族が肩代わりする

「今は何とかなっている」と言い聞かせる

この時点では、
多くの人はまだ「困っている」とは思っていません。

でも、すでに余裕は削られています。

相談に来るのは「限界を超えたあと」

実際に相談につながるのは、

■入院が決まったとき

■介護が回らなくなったとき

■家族が倒れたとき

■もう一手も打てなくなったとき

つまり、
選択肢がほとんど残っていない段階です。

この時点で初めて
「誰に聞けばいいか分からない」という言葉が出てきます。

問題は“知識不足”ではない

ここで誤解されがちなのが、

もっと制度を知っていればよかった
お金の知識があればよかった

という考え方です。

でも実際は、
知識の問題ではありません。

■情報が多すぎる

■状況が複雑すぎる

■感情が追いついていない

この3つが重なると、
人は「正しい判断」ができなくなります。

だから必要なのは「整理される前の言葉」

このブログでは、

■すぐに解決策を出す

■正解を提示する

そういうことは、あまりしません。

それよりも、

■「それ、よくある状況です」

■「ここで止まる人が多いです」

■「無理に決めなくて大丈夫です」

そう言える場所でありたいと思っています。

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