― 現場で見てきた「可能」と「危険」の分かれ目 ―
精神障害があっても、一人暮らしはできますか。
よく聞かれる質問です。
結論から言えば、
できます。
ただし、
条件が整っていればです。
一人暮らしが破綻するケースの共通
これまで多くの家庭を見てきましたが、
うまくいかないケースには共通点があります。
・お金の管理が曖昧
・困ったときの連絡先が決まっていない
・服薬や通院が自己判断
・「なんとかなる」という前提で始める
そして何より、
家族の不安と本人の希望が整理されていない。
ここが最大のポイントです。
「できるかどうか」ではなく「整っているか」
精神疾患があること自体が問題なのではありません。
問題は、
- 収支が把握できているか
- 金銭管理の方法が決まっているか
- 支援機関との接点が維持されているか
- トラブル時のルールが決まっているか
この“設計”があるかどうかです。
設計なしで始める一人暮らしは、
多くの場合、短期間で崩れます。
若年層で特に多い落とし穴
20代前後の方の場合、
・障害年金がある
・働ける気がする
・親元を離れたい
・自由になりたい
この思いは自然です。
ですが、
年金は“自由資金”ではありません。
家賃、光熱費、食費、通信費、医療費。
これを差し引いたあと、
いくら残るのか。
ここを現実的に把握していないまま
一人暮らしを始めると、
・散財
・滞納
・孤立
・家出
・関係悪化
という流れになりやすい。
これは珍しい話ではありません。
では、可能になる条件とは
一人暮らしが安定するケースには
必ず以下があります。
① 収支が見える化されている
② 金銭管理の方法が決まっている
③ 月1回以上の支援接点がある
④ 家族の限界ラインが共有されている
⑤ 「無理なら戻る」という選択肢がある
自由はあります。
でも、
無制限の自由ではありません。
親が抱える本音
「自立してほしい」
と同時に
「でも壊れないでほしい」
この矛盾を抱えています。
設計をせずに送り出すことは、
応援ではなく、祈りに近い。
祈りは、仕組みには勝てません。
一人暮らしはゴールではない
一人暮らしは“自立の証”ではありません。
安定して生活できる状態が自立です。
実家でも、
グループホームでも、
単身でも、
整っていればいい。
整っていなければ崩れます。
生活設計という視点
精神疾患がある場合こそ、
・お金
・役割
・距離
・支援頻度
・緊急時の動き
これを事前に決めておく必要があります。
これは管理ではありません。
安心の設計です。
もし今、迷っているなら
「一人暮らしは無理ですか?」
ではなく、
「今、設計は整っていますか?」
と問い直してみてください。
ここが分かれ目です。

コメント