― 住まいの選択が“消極的決断”になる構造 ―
私はこれまで、
・障がいのある方
・高齢者
・生活保護利用者
・身寄りのない単身者
さまざまな立場の方の住環境調整に関わってきました。
そして共通していることがあります。
それは、
「住まいの変更が、前向きな選択ではなく“追い込まれた決断”になる」
という構造です。
よくある流れ
① 親の高齢化・死亡
② 金銭管理の破綻
③ 近隣トラブル
④ 医療・服薬中断
⑤ 孤立
⑥ 強制的な環境変更
住み替えは突然決まるのではありません。
小さなサインを放置した結果、
選択肢が消えていくのです。
「一人暮らしが難しくなる」本当の理由
能力不足ではありません。
多くの場合は
- 遂行機能の低下
- 金銭管理の崩れ
- 支援密度不足
- 家族のバーンアウト
これらが重なります。
問題は「本人」ではなく、
支援構造の過負荷です。
数字で見る現実
日本では単身世帯が急増しています。
総務省統計では、単身世帯は全世帯の約3割を超えています。
また、高齢単身世帯も増加傾向です。
「一人で暮らす人が増えている」
つまり、支援が薄い構造が増えているということです。
生活保護受給世帯も単身世帯が多数を占めます。
単身×低所得×支援不足
この組み合わせは、住環境不安定のリスクが高い。
消極的住み替えが起きる瞬間
・家賃滞納
・近隣からの苦情
・救急搬送の繰り返し
・大家からの退去要請
この段階になると、
✔ 選択肢は限られ
✔ スピード優先になり
✔ 本人の希望は後回し
結果として
「行きたくて行く」のではなく
「仕方なく移る」住まいになります。
本来必要なのは“段階的調整”
本来はこうです。
- 支援密度を上げる
- 金銭管理を補助する
- 役割を再設計する
- 住環境を微調整する
それでも難しい場合に、住み替えを検討する。
順番が逆になると、
本人の自己決定感が失われます。
住まいはゴールではない
どの制度を使うかよりも重要なのは、
「なぜ今その選択になるのか」
その背景構造です。
住まいは結果であって、原因ではありません。
結論
一人で暮らせなくなったのではなく、
一人で暮らせる構造が壊れた。
壊れてからの住み替えは高コストです。
壊れる前に設計を見直すこと。
それが最も現実的で、尊厳を守る方法です。

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