―住環境の変化から始まる生活機能の低下―
「年のせい」で片づけられてしまう変化
家族が久しぶりに実家へ帰ったとき、こんな違和感を覚えることがあります。
- 2階を使わなくなっている
- 掃除が行き届かない
- 外出が減っている
- 近所付き合いがなくなった
どれも一つだけなら珍しい話ではありません。
しかし現場では、これらを別々の出来事としては見ません。
生活機能が変化し始めた「流れ」として見ています。
最初に起きるのは「行動の縮小」
多くの場合、最初に起きるのは大きな事故ではありません。
少しずつ、
- 階段を上がらなくなる
- 外出回数が減る
- 運転を避けるようになる
といった行動の変化です。
本人は「疲れるから」「面倒だから」と説明します。
ですが実際には、
身体能力・判断力・自信の低下 が背景にあることが少なくありません。
次に現れる生活の変化
行動範囲が狭くなると、生活の質にも影響が出始めます。
- 掃除をしなくなる
- 料理が簡単なものになる、またはしなくなる
- 同じ服を着続ける
- 買い物の内容が偏る
ここで特徴的なのは極端さです。
- 無計画に散財する
- 逆に買い物自体に興味を失う
どちらも「判断機能の変化」として現れることがあります。
家族との衝突が増える理由
変化に最初に気づくのは家族です。
そして多くの場合、こう声をかけます。
「ちゃんと掃除したら?」
「運転もう危ないんじゃない?」
「最近おかしくない?」
ですが本人にとっては、
- 自分は普通に生活しているつもり
- 怒られている感覚
- 尊厳を否定された感覚
になりやすく、結果として喧嘩になります。
ここから
- 会話が減る
- 家庭内で孤立する
- さらに意欲が低下する
という悪循環が始まります。
問題は「性格」ではない
現場で何度も感じるのは、
これは怠けでも頑固さでもないということです。
生活を維持する力は、
- 身体機能
- 認知機能
- 意欲
- 環境
が組み合わさって成り立っています。
どれか一つが少し崩れるだけで、暮らし全体が静かに変わっていきます。
家が教えてくれるサイン
病院へ行く前に、変化は家の中に現れます。
- 使われなくなった部屋
- 増えていく未開封の物
- 台所の変化
- 外出しない生活
住環境は、その人の生活そのものを映しています。
「最近変わったな」と感じたとき、
それは家族が気づけた大切なサインかもしれません。
大きな問題になる前に
多くの支援は、問題が大きくなってから始まります。
ですが本来必要なのは、
生活が少し変わり始めた段階で
「どう暮らし続けるか」を一緒に考えることです。
住まいの変化は、衰えの証拠ではありません。
これからの生活を整え直すタイミングでもあります。

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