私は作業療法士として長く現場に関わってきました。
障がいのある方、高齢者、その家族。
本当に多くの人生の場面に立ち会ってきました。
そこで、ずっと感じていた違和感があります。
それは――
多くの人が「突然」困ったわけではないということです。
人は、ある日突然困るわけではない
相談に来る人の話を丁寧に聞くと、必ず共通点があります。
半年前。
あるいは1年前。
すでに生活の中に、小さな変化が始まっています。
- なんとなく疲れが抜けない
- 家族の役割が少しずつ偏る
- 仕事と家庭のバランスが崩れ始める
- 将来の不安を感じながら後回しにする
けれど、その時点ではまだ生活は回っています。
だから人は思います。
「まだ大丈夫」
そして、本当に困った時には、
選択肢がほとんど残っていない状態になっています。
問題は能力ではなく「生活の配置」で起きている
現場で出会ってきた多くの人は、
努力が足りなかったわけでも、能力が低かったわけでもありません。
むしろ、真面目で責任感の強い人ほど、生活を支え続けようとします。
ですが生活には構造があります。
- 住まい
- 仕事
- 家族関係
- 健康
- 時間の使い方
これらは別々に存在しているようで、実際には強く影響し合っています。
どこか一つに無理が生じると、
別の場所が静かに歪み始めます。
問題が起きているように見えて、
本当は「生活全体の配置」が合わなくなっているだけ。
私は現場で、何度もそれを見てきました。
福祉・住まい・仕事が分断されている現実
今の社会では、相談先が細かく分かれています。
体のことは医療。
働くことは就労支援。
暮らしは住宅。
家族の問題は別の窓口。
けれど、実際の生活は分かれていません。
仕事の問題が家庭に影響し、
住環境が健康に影響し、
家族関係が働き方を変えていきます。
本来は一つの生活なのに、
支援だけが分断されている。
その結果、誰も「生活全体」を見ていない状態が生まれています。
だから私は「生活構造」を見る
私は、問題を解決する前に
まず生活の構造を見るようになりました。
何が起きているのかではなく、
- どこに負担が集中しているのか
- どこが将来のリスクになっているのか
- 今の生活は変化に耐えられるのか
を整理していきます。
すると、不思議なことに
大きな対策をしなくても生活が整い始めることがあります。
生活は、壊れてから修復するより、
壊れる前に配置を変える方がずっと自然だからです。
「生活構造デザイナー」という役割
私はこの考え方を、
特定の制度や支援の中だけに閉じたくありませんでした。
高齢者だけでもない。
障がい者だけでもない。
人生には誰にでも転機があります。
- 子育て
- 転職
- 家族構成の変化
- 将来への不安
- 働きづらさ
- 環境の変化
その前段階で生活を整える視点が必要だと感じています。
だから私は、自分の役割を
「生活構造デザイナー」 と呼ぶことにしました。
問題が深刻になってからではなく、
まだ選択肢があるうちに生活を見直す。
それが、この活動の出発点です。
最後に
生活は、ある日突然崩れるわけではありません。
小さな違和感は、いつも静かに始まっています。
もし今、はっきりした問題はないけれど、
どこかに引っかかる感覚があるなら。
それは、生活を見直すタイミングなのかもしれません。
このサイトでは、
生活を部分ではなく「全体」として見る視点を発信しています。
必要な人に、必要なタイミングで届けば嬉しく思います。

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