はじめに
「障害のある子どもの将来が心配なので、生命保険に入った方がいいでしょうか。」
FPとして相談を受ける中で、この質問をいただくことがあります。
親御さんが保険を考える理由はよく分かります。
「自分に万が一のことがあっても、この子がお金に困らないようにしたい。」
その思いは、とても自然なものです。
しかし、私は相談を受けたとき、すぐに保険を勧めることはありません。
最初に確認するのは、
「その保険で、本当に解決したい問題は何ですか?」
ということです。
生命保険は大切な備えですが、すべての家庭に必要とは限りません。
今回は、障害のあるお子さんを持つご家庭が生命保険を考える前に確認したいポイントをお伝えします。
① 保険は「不安」を減らしますが、「生活」を作るものではありません
生命保険は、お金を残す仕組みです。
しかし、
住む場所。
働く場所。
相談できる人。
日々の支援。
これらを用意してくれる制度ではありません。
親亡き後問題を考えるとき、
生活の土台が整っていない状態で保険だけ増やしても、不安は解決しません。
私はまず、「この子が親亡き後も生活を続けられる環境があるか」を確認します。
② 障害年金だけでは足りるのか
生命保険を考える前に確認したいのが、毎月の生活費です。
例えば、
障害年金。
給与。
グループホームの家賃。
食費。
光熱費。
医療費。
これらを書き出してみると、
「毎月2万円不足する。」
「意外と赤字ではない。」
という現実が見えてきます。
私は相談の際、まず家計を一緒に整理します。
保険は、その結果不足する部分を補うための選択肢です。
③ 本当に必要なのは「一時金」なのか
生命保険というと、「亡くなったらまとまったお金が入る。」
というイメージがあります。
しかし、親亡き後に必要なのは、
一度に1000万円受け取ることよりも、
毎月安定して生活できること
ではないでしょうか。
まとまったお金があっても、
管理が難しければ生活は安定しません。
一方で、
毎月の収支が整っていれば、
大きな財産がなくても安心して暮らせるケースはあります。
④ 加入できる保険は限られることがあります
障害の種類や健康状態によっては、
生命保険や医療保険への加入が難しい場合があります。
また、加入できたとしても、保険料が高くなることがあります。
だからこそ、「入れる保険を探す」よりも、
「本当に保険が必要なのか」
を先に考えることが大切です。
⑤ 私が最初に確認すること
生命保険の相談では、私は次の5つを確認します。
- 毎月の生活費は把握できているか
- 障害年金の受給状況はどうか
- 働く場所は継続できそうか
- 親亡き後の住まいは決まっているか
- 財産を管理できる体制はあるか
この5つが整理できると、
生命保険が必要なのか、
あるいは別の方法で備えられるのかが見えてきます。
福祉特化FPとして伝えたいこと
私は生命保険を否定するつもりはありません。
実際に、加入した方が安心できるご家庭もあります。
一方で、「とりあえず保険」では、親亡き後問題は解決しません。
生命保険は、暮らしを支える仕組みの一つです。
住まい。
就労。
障害年金。
家計。
相談できる人。
これらを一緒に考えることで、
初めて将来への備えになります。
私は、その順番を大切にしています。
まとめ
障害のあるお子さんの将来を考えると、不安から生命保険を検討するご家庭は少なくありません。
しかし、
本当に必要なのは、「いくら保険金が入るか」
ではなく、「その子が親亡き後も安心して暮らし続けられるか」です。
生命保険は大切な備えですが、それだけで将来は守れません。
まずは家計や生活を整理し、本当に必要な備えを考えることが、親亡き後への第一歩になると私は考えています。

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