はじめに
「何を節約すればいいのでしょうか。」
最近、このような相談を受ける機会が増えました。
物価高が続き、食料品や日用品、光熱費など、生活に欠かせないものの値上がりが続いています。家計への影響を実感しているご家庭も多いのではないでしょうか。
障害のある家族がいる家庭では、その負担はさらに大きくなります。
通院費。
交通費。
おむつなどの日用品。
福祉サービスを利用するための費用。
一般の家庭より「削りたくても削れない支出」が多いからです。
だから私は、「何を節約するか」よりも先に考えてほしいことがあります。
「節約しましょう」が通用しない家庭があります
テレビやインターネットでは、
「食費を見直しましょう。」
「固定費を削りましょう。」
といった家計管理の方法が数多く紹介されています。
もちろん、それ自体は間違いではありません。
しかし、障害のある方がいる家庭では、その前提が成り立たないことがあります。
例えば知的障害のある方の中には、お金の価値や将来を見通して使うことが苦手な方がいます。
精神障害のある方では、体調や気分の変化から衝動的に買い物をしてしまうことがあります。
発達障害のある方では、興味のあるものにお金を集中して使ってしまうケースもあります。
これは「我慢が足りない」のではありません。
障害特性によって、お金の管理そのものが難しい場合があるのです。
だから私は、
「もっと節約してください。」
とはあまり言いません。
私が最初に確認するのは「仕組み」です
以前、一人暮らしをしている知的障害のある方から相談を受けました。
障害年金と就労継続支援B型の工賃で生活していましたが、毎月のように月末になると生活費が足りなくなっていました。
家族は何度も、
「今月は使い過ぎないようにね。」
と伝えていました。
しかし、状況は変わりませんでした。
本人に悪気はありません。
「今使うお金」と「来月まで残しておくお金」を区別することが難しかったのです。
そこで見直したのは、本人の努力ではなく生活の仕組みでした。
家賃や光熱費は先に支払う。
生活費は一週間ごとに分ける。
大きなお金を持ち歩かない。
家族や支援者も一緒に確認する。
すると、大きなトラブルは少しずつ減っていきました。
物価高だからこそ、削ってはいけないものがあります
物価が上がると、
「とにかく支出を減らさなければ。」
と思うのは自然なことです。
しかし、私は真っ先に別のことを確認します。
親亡き後に向けた準備まで止めていませんか。
例えば、
・将来のための積立
・住まいに関する準備
・家族で話し合う時間
こうしたものは、目先の節約では効果が見えにくいため、後回しになりがちです。
しかし、本当に困るのは数年後です。
物価高はいつか落ち着くかもしれません。
でも、親亡き後への備えは、途中で止めてしまうと取り戻すのが難しくなります。
家計管理よりも大切なこと
一般的なFP相談では、
「家計簿をつけましょう。」
「毎月いくら使ったか把握しましょう。」
という話になります。
もちろん、それができる方には有効です。
しかし、障害のある方の家計では、
「家計簿をつけられること」が前提ではない場合があります。
だから私は、
家計簿よりも先に、
本人に合ったお金の管理方法ができているか。
こちらを考えます。
本人が頑張ることではなく、
本人が安心して暮らせる仕組みを作ること。
それが結果として、お金のトラブルを減らす近道になることが少なくありません。
まとめ
物価高は、すべての家庭に影響しています。
しかし、障害のある家族がいる家庭では、
「節約すること」だけでは解決できない問題があります。
本人の努力だけに期待するのではなく、
その人に合ったお金の管理方法を考えること。
家族や支援者と一緒に生活を支えること。
そして、目先の支出だけではなく、親亡き後も見据えた準備を続けること。
物価高だからこそ、家計を見直すだけではなく、暮らしを見直す視点が大切なのではないでしょうか。
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