本人と家族で考えたい、最初の出品と続け方
「外に働きに出るのは難しい。でも、自分で使えるお金を少しでも増やしたい」
「家族に頼るだけでなく、自分で収入を得る方法を探したい」
障害のある本人や、その家族が、こうした思いからメルカリなどのネット販売を調べることがあります。病気の治療中や退院後、年齢を重ねて以前と同じようには働けなくなった人にも、身近な選択肢になるかもしれません。
家にある物を、スマートフォンで出品する。買ってくれる人がいれば、お金になる。店舗を借りずに始められる点も、取り組みやすさの一つです。
ただし、「家でできるから簡単」「障害があっても誰でも稼げる」とは言えません。反対に、障害があることだけで、最初から選択肢から外す必要もありません。
大切なのは、本人が何を売り、どこまで取り組めるのか。そして、売れたお金を自分の暮らしにどう使えるのかを具体的に考えることです。
障害の有無だけでは、取り組めるかは決まらない
メルカリで物を売るときには、商品の状態を確認し、写真を撮り、説明を書き、価格を決めます。購入された後には、連絡、梱包、発送なども必要です。
これらを一つにまとめて「メルカリができるか」と聞かれても、初めての人には分からないでしょう。
写真は撮れそうだけれど、説明文に何を書けばよいか分からない。出品操作はできても、送料や価格の決め方で迷う。商品を用意することは好きでも、購入者とのやり取りが不安になる。
難しいところは、人によって違います。
私が運営する事業所でも古着を販売していますが、販売には複数の工程があります。仕事の名前だけで判断せず、実際の作業に分けると、取り組める部分が見えてきます。
ネット販売も同じです。まず一度試し、どこで止まるのかを確かめる。そのうえで、必要な説明や支援を考えます。
最初は、仕入れずに家の物を1品売ってみる
収入を増やしたいと思うと、「何を仕入れたら売れるのか」と考えたくなるかもしれません。
しかし、最初から商品を買う必要はありません。着なくなった服、読まなくなった本、使っていない趣味の道具など、自分が所有している物から始められます。
家族の物を売る場合は、持ち主の了承を得てください。使っていないように見えても、本人には大切な物かもしれません。
最初の1品では、販売の流れを経験すると同時に、どのくらいのお金が残り、どのくらいの作業が必要だったかを確認します。
「思ったよりできた」という発見もあれば、「発送方法を先に決めておいた方がよかった」という発見もあるでしょう。
その経験が、次に何を学ぶかを決める材料になります。最初の出品手順は、こちらの記事で説明しています。
病気や障害で収入が減ったとき、家の不用品を売って収入にする方法―メルカリ出品を例に解説
出品の前に、売れたお金を受け取る準備も確認する
写真や説明文の前に、確認しておきたいことがあります。本人が利用するアカウントと、売れたお金の受け取り方です。
メルカリでは、他人のアカウントを利用することが禁止されています。「家族のアカウントを借りればよい」とは考えず、本人が利用するための準備を確認します。メルカリ スマホでかんたん フリマアプリ
また、売上金などを銀行口座へ振り込む場合、利用できるのは本人名義の口座です。親や配偶者の口座を、本人の振込先として使うことはできません。
本人名義の口座がない場合は、現金として受け取るための準備も課題になります。口座の開設手続きや必要書類は金融機関に確認し、出品の練習と並行して進め方を考えます。
出品時には、一定の条件に該当すると本人確認の完了が必要になる場合もあります。アカウントがあることだけで準備完了とせず、実際の画面と公式案内を確認してください。
**自分で売った経験を、自分で使えるお金につなげる。**そのためには、出品から受け取りまでを一続きで考える必要があります。
家族は、何を手伝えばよいのか
本人が販売を始めたいと思っていても、最初の操作や判断に家族の助けが必要な場合があります。
一緒に売る物を選ぶ。商品の状態を確認する。説明に必要な情報を整理する。梱包材を用意する。こうした準備を手伝うことも支援です。
ただし、本人のアカウントを家族が共有して使うこととは分けて考えてください。ログイン情報を預かって操作や取引を代行する方法を、当然の前提にはしないことが大切です。具体的な補助方法に迷う場合は、メルカリ事務局に確認します。もちろん私も相談に乗りますよ!
また、何をいくらで売るのか、売れたお金をどう使いたいのかは、本人と話して決めたいところです。
家族にとっては不用品でも、本人は売りたくないかもしれません。本人は販売を楽しみにしていても、家族は片付けを急いでいるかもしれません。
目的が違うまま進めると、「本人が自分で稼ぐ取り組み」だったはずのものが、家族の作業になってしまいます。
最初に、本人が担当することと、家族が手伝うことを確認する。そして数回取り組んだ後に、家族の負担が大きくなっていないかも振り返ります。
売れた金額が、そのまま使えるお金になるわけではない
販売を始めたら、売上だけでなく、差し引き残るお金を確認します。
通常のメルカリの取引では、販売価格の10%が販売手数料です。送料を出品者が負担する場合は、その費用も引かれます。メルカリ スマホでかんたん フリマアプリ
例えば、送料と梱包材を次の金額と仮定すると、計算はこうなります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 販売価格 | 1,000円 |
| 販売手数料 | 100円 |
| 送料(仮定) | 300円 |
| 梱包材(仮定) | 50円 |
| 差し引き残るお金 | 550円 |
これは、自宅にある物を売る例です。商品を仕入れていたり、材料を購入して制作していたりする場合は、その費用も考えます。
銀行口座への振込申請にも、通常は200円の手数料がかかります。無料となる条件もあるため、利用時の公式案内を確認してください。少額の売上をその都度振り込む場合は、この費用も無視できません。
価格を決めるときは、似た商品がいくらで売れているかに加えて、自分はいくら残せるのかを見ます。
この感覚を最初から持つことが、販売を収入につなげる土台になります。
不用品を売る経験から、継続して収入をつくる方法へ
家の不用品を売れば、使っていなかった物をお金に変えられます。ただ、売る物がなくなれば、その方法による入金も止まります。
毎月の収入につなげたい場合には、次に売る物をどう用意するかを考える必要があります。
自分で制作するのか。商品を仕入れるのか。すでに持っている技術や知識を、販売に使えるのか。
そこで初めて、材料費や仕入れ資金、在庫を置く場所、売れるまでの時間といった問題が出てきます。販売する物や事業の形によっては、許可や別の販売サービスの検討も必要です。
最初の出品ができたからといって、すぐに仕入れを増やす必要はありません。少量で試し、残るお金と作業時間を記録してから、次の段階を考えます。
本人や家族が「収入を増やしたい」と思っているときほど、早く結果を求めたくなります。しかし、生活費に必要なお金を在庫に変えてしまうと、かえって家計が苦しくなることがあります。
**暮らしに必要なお金を確保しながら、販売に使える範囲を決める。**福祉特化FPとして、ここも一緒に考えたい部分です。
年金や手当、生活保護などを利用している場合には、不用品の処分と継続的な販売活動を区別して、申告の要否や給付への影響を該当窓口に確認します。「ネット販売なら関係ない」「売れたら必ず支援が止まる」と、一律には判断できません。
出品できた後も、相談できる相手がいること
最初の1品を出品できても、次には別の疑問が出てきます。
何日たっても売れない。値下げした方がよいのか分からない。次に何を出すか迷う。購入者への返事に困る。売れているのに、お金が残っていない。
ネット販売を続けるには、始め方だけでなく、こうした疑問を解決していく必要があります。
私は現在、福祉特化FPとして、ネット物販を始めたい本人や家族に向けた継続サポートを準備しています。出品の操作に加え、価格や費用、販売の続け方を、本人の暮らしや家計と合わせて考える支援です。
一度説明を聞いて終わるのではなく、実際に取り組み、困ったところを確認し、次の販売へ進む。その過程を支えたいと考えています。
障害があるからできないと決めることも、ネットなら簡単に稼げると期待させることもしたくありません。
本人がやってみたいと思うことを、具体的な作業にする。そして、売れたお金を自分の生活につなげる。まずは、その最初の1品から始めてみませんか。
はじめての出品を、一緒に進めたい方へ
福祉特化FPでは、家にある物を実際に1品出品するところまで進める、無料モニターを募集しています。
病気や障害、高齢などによって収入の得方を考え直している本人や家族を含め、初めてネット販売に取り組みたい方に向けた試験的な支援です。
募集内容と申し込み方法は、以下の記事をご覧ください。受付状況は申し込み時にご確認ください。
家計や今後の生活全体についてのご相談は、相談案内をご覧ください。福祉・医療関係者向けの講演・研修のご依頼も承っています。
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