家賃は払えそう。でも、その後の暮らしが心配になる
「この家賃なら、一人暮らしができるかもしれない」
そう思って生活費を計算してみると、食費、光熱費、通信費、日用品、通院の費用と、支払いが積み重なります。毎月の支払いは何とかなりそうでも、冷蔵庫が壊れたらどうするのか。冬の暖房費が増えたら大丈夫なのか。そこまで考えると、不安になることがあります。
障害年金や限られた収入で暮らす人にとって、家賃をいくらにするかは大きな問題です。ただ、家賃を抑えられれば、その後の生活がすべて解決するわけではありません。
すでに一人暮らしをしていて、「生活はできているけれど、いつも余裕がない」と感じている人もいるでしょう。本人だけでなく、離れて暮らす家族が心配していることもあると思います。
こうしたとき、支出の見直しや利用できる支援の確認と一緒に、もう一つ考えたいことがあります。
今の暮らしを続けながら、自分で使えるお金を少し増やす方法はないだろうか。
私が今、福祉の現場で物販を本気の事業として育てようとしているのも、この問いとつながっています。
節約だけでは、残したい暮らしまで削ってしまうことがある
家計が苦しいときには、まず支出を確認します。使っていない契約がないか。固定費に見直せるところはないか。利用できる制度や支援を見落としていないか。
その確認は必要です。
一方で、すでに支出を抑えている人にとっては、「もっと節約しましょう」と言われても、簡単ではありません。
友人に会う回数を減らす。趣味に使うお金をなくす。外出を控える。必要な買い替えを先延ばしにする。数字の上では支出が減っても、その人が楽しみにしていることまで減ってしまう場合があります。
一人暮らしをしたい理由も、単に親と別の住所に住むためだけではないでしょう。自分の時間を持ちたい。好きな物を選びたい。自分で生活を決めたい。そうした希望があるはずです。
だから私は、家計を考えるときに、何を削れるかと同じくらい、何を残したいかを確認したいと思っています。
そのためのお金を、支出の見直しだけで確保できるのか。それとも、収入を得る方法も考える必要があるのか。そこから次の選択肢を探します。
「もっと働く」が難しい人にも、収入を増やしたい気持ちはある
収入を増やす方法として、勤務時間や出勤日数を増やすことが考えられます。しかし、それが難しい人もいます。
病気の治療を続けている。通勤で疲れてしまう。長い時間は働けない。介護などで家を空けにくい。年齢を重ね、以前と同じ働き方が難しくなった。
今の仕事を続けることで、生活全体が何とか成り立っている人もいるでしょう。
そこで、働く時間を増やせないから収入も増やせない、と決める前に、別の方法を考えてみます。その一つが、ネットを使って物を売ることです。
家にある不要な物を売る。自分で作った物を販売する。経験を積んだ後に、商品を仕入れて販売する。物販といっても、始め方や規模には違いがあります。
もちろん、誰にでも合う方法ではありません。ただ、これまで販売をしたことがない人にとっては、まだ試していない選択肢でもあります。
最初から毎月の生活費を任せるのではなく、まず取り組んでみて、自分に合うか、どのくらいのお金が残るかを確かめる。その順番で考えられます。
最初は、暮らしの中にある物を1品売ってみる
ネット販売を始めるために、いきなり商品を仕入れる必要はありません。
着なくなった服、読まなくなった本、使っていない趣味の道具など、自分が所有している物から始める方法があります。家族の物であれば、売る前に持ち主の了承を得ることが必要です。
写真を撮る。状態を説明する。価格を考える。売れたら梱包して発送する。
一度経験すると、「説明を書くところで迷った」「送料を先に調べればよかった」「思ったより梱包に時間がかかった」といったことが分かります。
こうした経験は、次の出品を考える材料になります。
ただし、家にある物を売って得るお金と、毎月入ってくる収入は分けて考えます。
不用品を売ったお金は、一人暮らしの初期費用や、家具・家電の買い替えに備えるお金に回せるかもしれません。一方、売る物がなくなれば、その方法で得られるお金も止まります。
毎月の家賃や食費を支えるためには、継続して販売できる物と、利益が残る仕組みが必要です。最初の1品は、その先を考える入口になります。
具体的な出品の流れは、こちらの記事で紹介しています。
病気や障害で収入が減ったとき、家の不用品を売って収入にする方法―メルカリ出品を例に解説
私たちも、物販を本気の事業として育てているところです
私が運営する就労継続支援B型事業所「サチエル・ロビンソン」では、古着やリメイク品などの販売に取り組んでいます。
そして今、その物販を、継続して利益を生む事業として育てようとしています。
目標は、月間200点の販売、月間純利益60万円という設定で運用しています。当然月によっては上下があります。
販売数だけ増えても、お金が残らなければ事業は続きません。反対に、利益が出そうな商品を用意しても、売れるまで長い時間がかかれば、次の仕入れに使えるお金が足りなくなります。
何を仕入れるのか。いくらで買うのか。どのくらいの期間で売れるのか。販売にかかる費用や作業を含めて、最終的に何が残るのか。
私たち自身が、そこを確かめながら進めていくところです。
この過程は、今後このブログでもお伝えしたいと思っています。販売できた数や残ったお金に加え、売れなかった物、見直した価格、時間がかかった作業なども、出せる範囲で具体的に示していきます。
これから物販を始める人が、同じ規模を目指す必要はありません。事業として取り組む中で分かったことを、個人が自分の暮らしに合う形で使えるようにしたいと考えています。
一人暮らしを支えるなら、「売上」より「残るお金」を見る
生活費のために物を売るなら、いくら売れたかだけでは判断できません。
例えば、次は考え方を示すための仮定です。特定のサービスの料金を示すものではありません。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 販売価格 | 3,000円 |
| 仕入れ代 | 1,000円 |
| 販売手数料・送料・梱包材など | 800円 |
| 差し引き残るお金 | 1,200円 |
売上は3,000円でも、この例で残るのは1,200円です。ほかに費用があれば、その分も確認します。
さらに、次の商品を仕入れて販売を続けるなら、残ったお金をすべて生活費に使えるとは限りません。販売を続けるためのお金も確保する必要があります。
一人暮らしの家計に組み込むときには、「今月は売れたから、来月も同じだけ使える」と考えず、何か月かの動きを見ます。
売れた月と売れなかった月。費用が多くかかった月。体調や予定によって、出品を進められなかった月。そうした変動も含めて、暮らしに回せる額を考えます。
最初の段階では、販売で得たお金を予備費として貯め、実績が積み重なってから毎月の家計への組み込み方を考える方法もあります。
**収入をつくることと、その収入で安心して暮らせることを、つなげて考える。**ここが、私が福祉特化FPとして関わりたい部分です。
「いくら稼ぐか」の前に、増えたお金で何をしたいか
一人暮らしのお金を考えるとき、すべての人に同じ目標額が必要なわけではありません。
毎月の不足を埋めたい人もいれば、急な出費に備えたい人もいます。親に頼んでいる支払いの一部を自分で持ちたい人や、自分の楽しみに使えるお金がほしい人もいるでしょう。
例えば、仮に毎月3,000円を積み立てられれば、1年間で3万6,000円になります。それだけで一人暮らし全体を支えることはできません。それでも、生活の予備費をつくる一歩にはなります。
反対に、毎月大きな赤字がある場合は、小さな販売収入だけに解決を任せることはできません。住居費や利用できる支援、今後の働き方など、家計全体の整理が必要です。
目標は、本人が望む暮らしから決めます。
家族も、「これくらい稼いでほしい」と先に金額を決めるより、本人が何のために取り組みたいのかを一緒に確認できるとよいと思います。
自分で得たお金を、自分の暮らしに使う。その目的が見えることで、次に何を学び、どこまで取り組むかも考えやすくなります。
一人暮らしの選択肢を、少しずつ増やしていく
一人暮らしを始めたいとき、家計の計算は欠かせません。ただ、今の収入と支出を並べて、「足りないから難しい」で話が終わってしまうのは、もったいないとも思います。
利用できる支援を確認する。住まいの条件を考える。働き方を見直す。そして、自分で収入を得る方法も試してみる。
その組み合わせによって、選べる暮らしが変わる可能性があります。
物販は、その中の一つです。まず家の物を1品売り、取り組めるかを確かめる。続けたいと思ったら、価格や費用、次に売る物について学ぶ。分からないところは相談しながら進める。
私たち自身も、販売を事業として育てている途中です。その実践を、このブログを読む人の暮らしや収入づくりに役立てていきたいと思っています。
「一人暮らしのお金が足りない」という悩みに、支出を抑える方法と、自分で得るお金を増やす方法の両方から向き合う。
これから、その具体的な過程をお伝えしていきます。
一人暮らしの家計や、収入づくりについて考えたい方へ
福祉特化FPでは、本人や家族の希望を伺いながら、生活費、住まい、働き方を合わせて整理します。
また、ネット販売を始めたい方や、出品後の続け方に迷う方に向けた継続サポートも準備しています。単発の操作説明だけでなく、販売の進め方と、家計に残るお金を一緒に考える支援です。
ご関心のある方は、お問い合わせの際に「ネット販売のサポートについて」とお知らせください。
福祉・医療関係者向けに、暮らしとお金、収入づくりをテーマにした講演・研修のご相談も承っています。
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