最初の相談は「一人暮らしをしたい」だけでも始められる
一人暮らしをしたい。
親元を離れて、自分の時間を持ちたい。好きな物を部屋に置いて、自分のペースで暮らしたい。家族に何か言われる前に、自分で決めてみたい。
でも、何から始めればよいのか分からない。
物件サイトを見ても、自分が申し込めるのか分からない。福祉の制度を調べると、知らない名前が並んでいる。「相談してください」と書かれていても、その相談先が見つからない。
そうして、部屋の写真を眺めるだけで時間が過ぎている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、部屋探しや家計を全部自分で整理する前に、一人暮らしの準備を一緒に進める相談相手につながる方法を紹介します。
今、収入や貯金の金額を正確に言えなくても構いません。引っ越す時期が決まっていなくても、まず希望を伝えるところから始められます。
まず、この文章を使ってください
何と説明すればよいか迷う方は、次の文章を、そのまま見せたり送ったりしてください。
障害があり、一人暮らしをしたいと考えています。
でも、何から始めればよいか分からず、準備が進んでいません。
部屋探し、お金、使える支援について、一緒に考えてくれる人に相談したいです。
どこにつながればよいか教えてください。
電話で話す場合は、これを読み上げても構いません。全部話せなければ、
一人暮らしをしたいのですが、相談先が分かりません。
この一言からでも始めてみてください。
最初の相手が、その場ですべて答えられる人である必要はありません。まず、生活の相談ができる担当者や窓口につないでもらうことを目指します。
通院しているなら、次の受診で受付に見せる
病院やクリニックに通っている人は、次の受診時に受付や看護師へ伝える方法があります。
一人暮らしを考えています。病気のことだけでなく、生活やお金の相談ができる方はいますか。
医療機関によっては、医療ソーシャルワーカーや精神保健福祉士など、生活に関する相談を受ける職員がいます。厚生労働省も、医療ソーシャルワーカーの仕事として、患者や家族の医療・生活上の問題に関する相談や支援を紹介しています。職業情報提供サイト(job tag)
窓口の名前は「患者相談窓口」「医療相談室」「地域連携室」など、医療機関によって違います。職員が配置されていない場合もあります。
名前を調べてから行く必要はありません。
この病院で相談できなければ、地域の相談先を教えてもらえますか。
と聞いてみてください。
診察中に言い出しにくければ、最初の相談文を紙に書いて持っていく方法もあります。
事業所などに通っているなら、職員へこの画面を見せる
就労支援の事業所、デイケア、生活訓練などを利用している人は、話しやすい職員に伝えてみてください。
一人暮らしをしたいです。まだ何も準備できていません。準備を一緒に考えてくれる人につないでもらえますか。
「今度一人暮らしできたらいいな」という雑談だけでは、具体的に動きたい希望だと伝わっていない場合もあります。
そこで、準備を始めたいので、相談の時間を取ってほしいと伝えます。
すでに担当の相談支援専門員がいる場合は、その人との面談につなげてもらう方法があります。担当者の名前や連絡先が分からなければ、そこから確認して構いません。
「誰に聞けばいいか調べる」という作業も、今つながっている職員に手伝ってもらってよいのです。
通っている場所がないなら、市区町村の窓口から始める
病院にも事業所にも相談しにくい。今はどこにも通っていない。そういう場合は、住んでいる市区町村へ連絡する方法があります。
検索するなら、まずは、
「○○市 障害 相談」
で探してみてください。市や区、町村の公式ページを開きます。
担当課の名前が分からなければ、役所の代表電話でも構いません。
障害があり、一人暮らしの準備について相談したいです。障害のある人の生活相談を受けている窓口につないでください。
厚生労働省は、市町村の相談支援事業として、障害のある本人などからの相談、情報提供、福祉サービスの利用支援などを案内しています。市区町村の担当窓口や、自治体が案内する相談支援事業所などが、相談先になります。mhlw.go.jp
最初の連絡では、希望するサービス名を答えられなくても大丈夫です。
「一人暮らしをしたいけれど、何を使えばよいか分からない」と伝え、その地域ではどこに相談できるかを確認します。
電話が難しいなら、先に「話しやすい方法」を伝える
電話では言葉が出てこない。突然質問されると答えられない。聞いた内容を覚えていられない。
そうした場合は、窓口のメールアドレスや問い合わせフォームがあるかを見てみます。電話以外の受付方法は自治体や機関によって異なるため、公式ページで確認してください。
先ほどの相談文に、次の一文を加えます。
電話で説明することが難しいため、最初はメールでのやり取りを希望します。メールで相談できない場合は、ほかに使える方法を教えてください。
外出できる人なら、文章を窓口で見せる方法もあります。家族や知人に、最初の連絡だけ手伝ってもらうこともできます。
そのときには、「本人は一人暮らしを希望している」「連絡を手伝っている」という関係を伝えてもらいます。
説明が上手にできるようになるまで、希望をしまっておく必要はありません。希望が伝わる方法を使って、相談を始めることを考えます。
「何を相談したいですか」と聞かれたら
相談先につながっても、「具体的には何に困っていますか」と聞かれて、止まってしまうことがあります。
一人暮らしをしたことがないのですから、何が問題になるか分からないのも自然です。
例えば、次のように答えられます。
一人暮らしをしたい気持ちはあります。でも、お金が足りるか、部屋をどう探すか、家事で助けを使えるかが分かりません。まず何から確認するか、一緒に決めたいです。
まだ家賃の予算がなくても、希望する地域が曖昧でも構いません。相談しながら決める項目です。
逆に、「この辺りに住みたい」「実家から離れすぎたくない」「通所先を変えたくない」など、決まっている希望があれば伝えてください。
きれいな計画にまとめることより、本人がどんな暮らしをしたいのかが、相談の出発点になります。
最初の相談では「次にすること」を一つ決める
相談をしたのに、「いろいろ説明されたけれど、結局何をすればよいか分からない」となってしまう場合もあります。
制度や書類の名前がたくさん出てきたら、最後にこう聞いてみてください。
今日の話から、私が次にすることを一つ教えてください。できれば、書いてもらえますか。
例えば、次の面談日を決める。今の収入が分かる物を持ってくる。希望する地域の物件を一緒に見る。別の相談先へ連絡してもらう。
何をするかに加えて、誰がするかも確認します。
その窓口への連絡は、自分でするのでしょうか。最初の連絡を手伝ってもらうことはできますか。
自分で連絡できないことが、今まさに困っている内容なら、そこまで伝えてよいのです。
別の窓口を紹介された場合も、名前だけを聞いて終わらず、連絡先、担当者、何と伝えるかを確認します。連絡すること自体が難しければ、取り次ぎや同行などを相談できるか聞いてみてください。
お金のことが分からないなら、一緒に整理する
「自分の年金がいくらか、正確には分からない」「親が管理していて、どの書類を見ればよいか知らない」という人もいるでしょう。
分からない金額を、その場で無理に答える必要はありません。
お金の管理は家族に手伝ってもらっています。自分でも確認し、一人暮らしの予算を考えたいです。必要な物を教えてください。
と伝えます。
一人暮らしの準備では、入ってくるお金、契約時に使えるお金、毎月必要になる生活費を確認していきます。家族からの援助を考える場合も、どのくらい、いつまで協力できるかを話す必要があります。
ただ、これを全部整理できてからでないと相談できない、という順番ではありません。分からないところを一緒に確認することも、相談の中身です。
必要な金額が見えてから、住まいの条件、使える支援、働き方や収入を増やす方法などを考えます。最初の連絡で、一人暮らしのお金を全部解決しようとしなくて構いません。
最初に話した相手だけで、結論が出るとは限らない
希望を伝えたときに、「一人暮らしは大変だよ」「まず家事ができるようになってから」と言われることもあるかもしれません。
そこで話が止まったら、次のように聞いてみます。
今すぐ引っ越すということではなく、実現するために準備を始めたいです。何が必要か、使える支援も含めて相談できる人につないでもらえますか。
心配する理由があるなら、それを具体的に聞きます。お金なのか、家事なのか、住まいなのか。理由が分かれば、準備する内容や相談する相手を考えられます。
一方で、最初の相手が地域の支援に詳しいとは限りません。その場で答えが出なくても、正式な相談窓口につながることを目指します。
一度の会話だけで、希望を取り下げる必要はありません。
このブログから相談を始めても構いません
この記事を読んでも、どの窓口に連絡すればよいか決められない。相談文を送るところで、また止まってしまう。
その場合は、福祉特化FPのお問い合わせに、次の内容を送ってください。
一人暮らしをしたいです。何から始めればよいか分かりません。
住んでいる市区町村:○○
返信はメールを希望します。
今利用している病院や福祉サービスがあれば、その有無だけ付け加えていただいても構いません。最初の連絡に、詳しい病歴や通帳の画像などは必要ありません。
いただいた内容をもとに、相談先や、次に確認することを整理します。個別相談が必要な場合は、内容と料金をご案内してから進めます。
このブログを見つけたことを、最初の相談につながるきっかけにしていただければと思います。
今日することは、一人に希望を伝えること
一人暮らしの準備には、お金、部屋、生活、支援など、いくつもの項目があります。最初から全部を見れば、大変に感じるでしょう。
今日、それをすべて決める必要はありません。
通院しているなら、次の受診で見せるために相談文を保存する。事業所へ通っているなら、話しやすい職員に画面を見せる。つながっている場所がなければ、市区町村へ相談文を送る。
そのうち、今使える方法を一つ選んでください。
「一人暮らしをしたい。一緒に準備を考えてほしい」
その希望を、まず一人に届けるところから始めてみましょう。
相談・講演・研修について
福祉特化FPでは、一人暮らしや住み替えを考える本人・家族と、家計、住まい、働き方、必要な支援を合わせて整理します。
福祉・医療関係者向けの、暮らしとお金、住まいの選択に関する講演・研修も承っています。
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※窓口名や受付方法、相談できる内容は、自治体・医療機関・事業所によって異なります。


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