「この家に、あと何年住めるだろう」と考えたことはありますか。

家と生活の関係

私は今、自分の家で普通に暮らしています。

階段も上がれる。風呂にも入れる。車も運転できる。買い物にも行ける。

だから、今のところ住み替える理由はありません。

でも、

「この家に、あと何年住めますか?」

と聞かれたら、答えられません。

10年なのか。20年なのか。それとも最後までなのか。

家が壊れるからではありません。

私の暮らしと、この家が、いつまで合っているか分からないからです。


家の寿命と、「この家で暮らせる期間」は違う

住宅には建物としての寿命があります。

屋根や外壁は傷みますし、給湯器も壊れます。水回りもいつか修繕が必要になります。

でも今回考えたいのは、建物があと何年もつかではありません。

自分が、この家であと何年暮らせるか。

こちらです。

築年数が浅く、建物として何十年も使える住宅でも、その人にとって暮らしやすい住宅であり続けるとは限りません。

例えば、今は何でもない階段。

60歳では普通に上がれていても、70歳、80歳になったときは分かりません。

今は毎日運転してスーパーへ行っている。

でも、いつか運転をやめる日が来るかもしれない。

冬になれば自分で雪かきをしている。

それもいつまで続けられるか分かりません。

つまり、

家の寿命と、その人がその家で暮らせる期間は別のものです。


「その人と、その家との組み合わせ」にも寿命がある

私は作業療法士として働いてきたので、人の身体が変わることで、それまで普通だった生活が突然難しくなる場面を何度も見てきました。

昨日まで暮らしていた家なのに、病気やけがをきっかけに、

玄関に入れない。

二階へ上がれない。

浴槽をまたげない。

トイレが使いにくい。

外へ一人で出られない。

そんなことが起こります。

ただ、これは病気や障害のある人だけの話ではありません。

誰でも年齢を重ねます。

筋力も変わります。

視力も変わります。

運転することが負担になることもあります。

家族構成も変わります。

収入も変わります。

つまり、

「人」は変わっていく。

ところが、家は基本的に同じ場所にあり続けます。

だから私は、住宅について考えるとき、

「その人と、その家との組み合わせにも寿命がある」

と考えてみてもいいのではないかと思います。


例えば、50歳で郊外の一戸建てに住んでいる

少し具体的に考えてみます。

50歳。

夫婦二人。

子どもは独立した。

住宅ローンはあと10年。

家は二階建て。

スーパーまで3km。

病院まで5km。

最寄りのバス停までは少し歩く。

夫婦とも車を運転している。

今なら、特に困ることはありません。

むしろ静かで、庭もあって、駐車場もある。

「引っ越す理由なんてない」

という家かもしれません。

では、20年後はどうでしょう。

70歳になった。

住宅ローンは終わっています。

でも二階にはほとんど上がらなくなった。

庭の手入れが負担になってきた。

雪の降る地域なら、除雪も大変になってきた。

そして、夫婦のどちらかが運転をやめた。

さらに10年後。

80歳。

夫婦のどちらかが亡くなり、一人暮らしになっているかもしれません。

家そのものはまだ使えます。

でも、

「この家は自分の生活に合っているか」

と考えると、50歳のときとは答えが変わっている可能性があります。


家の中だけを見ても分からない

住宅の将来を考えると、

段差をなくす。

手すりを付ける。

一階だけで生活できるようにする。

浴室を改修する。

といった話になりがちです。

もちろん大切です。

でも、それだけではありません。

どれだけ家の中を暮らしやすくしても、

スーパーまで歩けない。

病院へ行けない。

バスがほとんどない。

冬になると外へ出られない。

車がなければ生活できない。

という場所なら、別の問題が残ります。

反対に、多少古い住宅でも、

スーパーが近い。

病院が近い。

公共交通を利用できる。

家族や知人が近くにいる。

こうした環境によって、長く暮らせることもあります。

だから、

「この家にあと何年住めるか」は、家だけを見ても分かりません。

家の外まで含めて考える必要があります。


家族も変わる

住まいを考えるとき、もう一つ忘れられないのが家族です。

子どもと暮らしていた家が、夫婦二人になる。

そして、いつか一人になるかもしれない。

逆に、高齢になった親と同居することになる人もいます。

介護のために家族が行き来するようになることもあります。

配偶者が病気になれば、それまでとは住宅に必要な条件が変わることもあります。

つまり、

家に住む人数も、その人たちの状態も、ずっと同じではありません。

4人家族にはちょうどよかった家が、一人暮らしには大きすぎることもある。

若い夫婦には便利だった場所が、高齢になった二人には不便になることもある。

家を買ったときの条件が、そのまま人生の最後まで続くわけではありません。


お金の面からも「住み続けられるか」を考える

ここはFPとして考えておきたいところです。

住宅ローンが終われば、住宅費はほとんどかからない。

そう考える人もいるかもしれません。

でも、持ち家にもお金はかかります。

固定資産税。

火災保険。

外壁。

屋根。

給湯器。

暖房設備。

水回り。

マンションなら管理費や修繕積立金もあります。

そして築年数が進めば、大きな修繕が必要になることもあります。

現役時代なら払えた修繕費が、年金生活になってから重くなることもあるでしょう。

だから、

「ローンが終わったから、この家ならずっと安く暮らせる」

とも限りません。

反対に、住み替えれば必ず安くなるわけでもありません。

賃貸なら家賃が続きます。

施設なら利用料がかかります。

住宅を購入し直すなら資金が必要です。

だから大事なのは、

持ち家か賃貸かという単純な比較ではなく、自分の暮らしと家計の両方が続くかどうか。

だと思います。


「二階を使わなくなった」は小さなサインかもしれない

住み替えというと、大きな決断に感じます。

でも、そのずっと前から生活は少しずつ変わっています。

例えば、

最近、二階へ行くことが減った。

庭の手入れを業者に頼むようになった。

雪かきがつらくなった。

遠くのスーパーへ行く回数が減った。

夜は運転しなくなった。

浴槽に入らずシャワーで済ませることが増えた。

家の掃除が行き届かなくなってきた。

使わない部屋が増えた。

こういう変化です。

一つ一つは、「引っ越さなければならない理由」ではありません。

でも、

自分の暮らしと家との関係が少しずつ変わっているサイン

ではあります。

こういう段階なら、まだ時間があります。


問題が起きてから住まいを考えると、選択肢が少なくなる

ここは重要だと思っています。

転倒して入院した。

退院することになった。

でも自宅には階段がある。

一人暮らしは難しい。

急いで施設を探す。

こうなると、「どんな暮らしをしたいか」より、

「今すぐ入れるところはどこか」

が優先されることがあります。

親が急に一人暮らしできなくなって、遠方に住む子どもが短期間で住まいを決めなければならないこともあります。

家計が苦しくなってから住宅費を見直そうとしても、動ける範囲が限られることがあります。

だから私は、

住み替える必要がないときに、一度住まいについて考えてみる

ことには意味があると思っています。

すぐに家を売る必要もない。

引っ越す必要もない。

施設を探す必要もない。

ただ、

「この家にあと何年住めそうだろう」

と考えてみる。

それだけです。


「あと何年?」を考える4つの視点

正確な年数を出す必要はありません。

次の4つを一度眺めてみるだけでもいいと思います。

視点考えてみたいこと
階段、浴室、広さ、庭、除雪、修繕などを将来も維持できるか
家の外買い物、病院、交通、車がなくても生活できるか
自分や家族の年齢、身体、家族構成はどう変わりそうか
お金退職後の収入で住宅費・修繕費・維持費を負担できるか

そして、

今は問題ない。

なら、それでいい。

10年後も問題なさそうなら、それもいい。

少し気になることがあるなら、その部分だけ考えてみればいい。


答えは「住み替え」だけではない

ここまで書くと、

「結局、早めに住み替えろという話なのか」

と思われるかもしれません。

違います。

今の家に最後まで住めるなら、それも一つの答えです。

手すりを付ければ住み続けられるかもしれない。

一階だけで生活できるようにすればいいかもしれない。

庭の管理や除雪を人に頼めばいいかもしれない。

車を手放しても暮らせる方法を考えられるかもしれない。

あるいは、

同じ町内の小さな住宅へ移る。

駅や病院に近いマンションへ移る。

家族の近くへ行く。

高齢者住宅や施設へ移る。

まったく別の土地で暮らす。

いろいろな答えがあります。

どれを選ぶかは、今決める必要はありません。


でも、「いつか考える」だけでは遅くなることがある

住まいについて考えるのは面倒です。

今困っていなければ、なおさらです。

私自身、

「この家にあと何年住めるだろう」

と普段から考えながら生活しているわけではありません。

でも、家を買ったときには想像していなかった変化が、人生には起こります。

身体が変わる。

家族が変わる。

仕事が変わる。

収入が変わる。

街が変わる。

そして自分も年を取る。

家は同じでも、そこで暮らしている人の生活は変わり続けます。

だから、何かが起きてから慌てて次の住まいを決めるのではなく、

まだ何も起きていないときに、

「この家に、あと何年住めるだろう」

と一度考えてみる。

私は、それだけでも十分な住まいの準備だと思っています。


家を選ぶのは、一度きりではないのかもしれない

家を買うとき、

「一生の買い物」

と言うことがあります。

確かに大きな買い物です。

でも、

一度選んだ家に、一生自分を合わせ続けなければならないわけではありません。

今の自分に合っているなら住む。

暮らしが変わったら、家の方を変える。

それでも合わなくなったら、住む場所を変えることも考える。

そう考えると、

「住み替え」は今の家を否定することでも、失敗を認めることでもありません。

その時々の暮らしに合わせて、住まいとの関係を考え直すことです。

昨日まで何の問題もなかった家が、明日突然だめになるわけではない。

多くの場合、その前に小さな変化があります。

だからこそ、

まだこの家で普通に暮らせている今、一度だけ考えてみる。

この家に、あと何年住めるだろう。

答えが出なくてもいいと思います。

その問いを持っているだけで、いつか住まいについて決めなければならなくなったとき、選べるものが少し増えるかもしれません。


これからの住まいについて考えてみたい方へ

福祉特化FPでは、住み替えやこれからの暮らしについての相談を受けています。

「引っ越したい」と決まっている必要はありません。

今の家に住み続けられるのか。
将来どんな住まいが必要になるのか。
家計はどう変わるのか。
今の地域に残るのか、別の場所で暮らすのか。

まだ何も決まっていない段階からで構いません。

お金だけではなく、身体、家族、住環境、これからの生活を整理しながら、今の家に住み続けることも含めて一緒に考えます。

現在は取り組みの試行段階のため、初回相談は無料です。オンラインでも対応しています。

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※現在、不動産の仲介業務は行っていません。物件の媒介・契約等を行うサービスではありません。


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