障害があると賃貸審査に通らない?部屋を借りる前に準備しておきたいこと

障害とお金

「障害があると、アパートを借りにくいのでしょうか」

一人暮らしを考え始めると、気になるところだと思います。

障害年金を受給している。

現在は働いていない。

親も高齢で、保証人を頼めるか分からない。

こうした状況だと、

「不動産会社に行っても断られるのではないか」

と心配になる人もいるでしょう。

でも、最初から一人暮らしを諦める必要はありません。

障害があるというだけで、賃貸住宅を借りられないと決まっているわけではないからです。

ただし、何も準備せずに物件を探し始めるより、

「私は毎月いくら収入があり、いくらの家賃なら払えて、どんな住宅なら生活できるのか」

を整理してから探した方が話は進めやすくなります。

今回は難しい制度の説明ではなく、実際に部屋を探す前に何を準備すればいいのかを考えてみます。


障害があるだけで「賃貸住宅を借りられない」わけではない

まず、ここは必要以上に怖がらなくていいと思います。

障害があるからといって、一律に賃貸住宅を借りられないわけではありません。

ただ、賃貸住宅では入居前に審査があります。

そこで確認されることの一つが、

「この家賃を継続して払っていけるか」

です。

会社員なら給与があります。

障害のある人の場合も、

障害年金。

給与。

就労継続支援B型などの工賃。

預貯金。

など、人によって経済状況は違います。

だから、

「働いていないから無理」

と自分で決めてしまうのではなく、まず自分の収入を整理してみることから始めます。


まず「毎月いくら入ってくるか」を書き出す

例えば、

障害年金 70,000円
B型工賃 25,000円

なら、

毎月の収入は約95,000円。

障害年金だけなら、

毎月約70,000円。

給与がある人なら、それも加えます。

非常に単純ですが、まずこれを明確にします。

前の記事でも書いたように、

「借りられる家賃」と「払い続けられる家賃」は違います。

月収7万円の人が家賃5万円の部屋を借りられたとしても、残り2万円で生活するのは現実的ではありません。

審査に通る方法を考える前に、

自分はいくらまでなら家賃を払えるのか。

ここを決めておくことが大切です。


「障害年金を受給しています」で終わらせない

不動産会社に相談するときも、

「障害があります」

「障害年金をもらっています」

だけでは、相手も判断しにくいと思います。

例えば、

障害年金を月約7万円受給しています。
B型の工賃が月約2万5,000円あります。
家賃3万円前後で探しています。

ここまで分かれば、かなり具体的になります。

預貯金があるなら、それも住宅探しの材料になる場合があります。

障害名だけを伝えるのではなく、

「私はこういう収入で、こういう生活を考えています」

と伝えられるようにしておく。

これは部屋探しの大事な準備だと思います。


保証人がいなければ部屋を借りられない?

次に心配になるのが保証人です。

「親が保証人になってくれるから大丈夫」

という人もいるでしょう。

一方で、

親が高齢になっている。

家族と離れて暮らしている。

頼める親族がいない。

という人もいます。

では、

保証人がいなければ、一人暮らしはできないのでしょうか。

必ずしもそうではありません。

現在の賃貸住宅では、家賃債務保証会社を利用する契約もあります。

また、障害者など住宅を確保することが難しい人を支援する居住支援法人という仕組みもあります。国土交通省によると、住宅相談や物件情報の提供、家賃債務保証、見守りなどの生活支援を行う法人があります。

ですから、

「保証人を頼める人がいないから無理」

と自分だけで結論を出す必要はありません。

まず不動産会社や地域の相談窓口などに、

「保証人を頼める人がいないのですが、借りられる住宅はありますか」

と相談してみることです。


一人で不動産会社へ行くのが不安なら、支援者に相談する

ここも障害のある人の部屋探しでは大切です。

物件の説明を聞く。

契約内容を理解する。

必要書類を準備する。

家賃や初期費用を確認する。

不動産会社とやり取りする。

初めて一人暮らしをする人なら、障害がなくても結構大変です。

それを全部一人でやらなければならないわけではありません。

普段利用している相談支援事業所などがあるなら、

「一人暮らしを考えている」

と相談してみる。

厚生労働省にも、一般住宅への入居を希望する障害者について、物件探しや契約手続きなどを支援する住宅入居等支援事業があります。実施状況は自治体によって異なるため、まず住んでいる市町村や相談支援事業所に確認するとよいでしょう。

制度名を覚える必要はありません。

困ったら、一人だけで部屋探しを続けない。

それで十分です。


部屋を探す前に、この6つだけ整理しておく

私はここまでを難しく考えなくていいと思っています。

紙でもスマートフォンでも構いません。

部屋探しを始める前に、次の6つを書いてみます。

確認すること自分の場合
① 毎月の収入障害年金、給与、工賃など
② 払える家賃月○万円まで
③ 預貯金初期費用を払えるか
④ 保証人頼める/頼めない/分からない
⑤ 支援してくれる人家族、相談支援、福祉事業所など
⑥ 住宅に必要な条件1階、エレベーター、病院の近くなど

これだけでも、かなり違います。

そして分からない項目があってもいい。

例えば、

「保証人は頼める人がいない」

と分かれば、それを条件として不動産会社に相談できます。

問題なのは、保証人がいないことそのものではなく、

何も整理しないまま部屋を探し続けること

だと思います。


「安い部屋」だけを探さない

そして、ここからはこれまでの記事と同じです。

家賃3万円。

敷金・礼金なし。

保証会社も利用できる。

審査も通った。

これだけなら、

「いい部屋が見つかった」

と思うかもしれません。

でも、スーパーまで2km。

病院まで3km。

バス停まで遠い。

冬は歩くのが難しい。

それでは、実際の一人暮らしが大変になるかもしれません。

逆に家賃が5,000円高くても、

スーパーが近い。

病院へ行きやすい。

バス停が近い。

利用している福祉サービスの範囲内。

という住宅なら、こちらの方が暮らしやすい場合があります。

賃貸審査に通ることは、一人暮らしのゴールではありません。

ここは忘れないでほしいと思います。


障害によって必要な住宅条件も違う

私は作業療法士として、ここもかなり気になります。

例えば車椅子を使っているなら、

エレベーターがあるか。

玄関に大きな段差がないか。

トイレや浴室を使えるか。

片麻痺があるなら、

玄関で靴を履けるか。

浴槽をまたげるか。

建物の出入口を安全に使えるか。

精神障害がある人なら、

通院しやすいか。

生活を支えてくれる人とつながりやすいか。

買い物などの日常生活を続けやすいか。

必要な条件は人によって違います。

だから私は、

「障害者が借りられる物件」

という探し方だけでは足りないと思っています。

必要なのは、

「自分が暮らせる物件」

を探すことです。


不動産会社へ相談するときは、これくらいでいい

難しい説明を準備する必要はありません。

例えば、

障害年金と工賃で月9万円ほど収入があります。家賃3万円くらいまでで一人暮らしを考えています。保証人を頼める人はいません。通院しているので、できればバス停に近い住宅を探したいです。

これだけでも、

収入・家賃・保証人・生活条件

が伝わります。

身体的な理由で1階が必要なら、それも伝える。

階段が使えるなら、2階以上も候補にできる。

一人で契約手続きをすることが難しいなら、支援者へ相談する。

一つずつ整理すればいいのです。


審査に落ちても「一人暮らしできない」とは限らない

一つの物件で審査に通らなかった。

これは確かにショックだと思います。

でも、

その物件を借りられなかったことと、一人暮らしそのものができないことは別です。

物件が変わる。

家賃を見直す。

保証の方法を相談する。

支援者と一緒に探す。

居住支援を利用する。

方法は一つではありません。

だから一度断られただけで、

「障害があるから部屋を借りられないんだ」

と決めつけないでほしいと思います。


部屋探しの目的は「審査に通ること」ではない

これまで4本の記事で、

借りられるか。

家賃はいくらまでか。

最初にいくら必要か。

審査はどうなるのか。

と順番に考えてきました。

でも全部、目的は同じです。

自分に合った場所で、一人暮らしを続けること。

不動産会社は住宅を探します。

FPはお金を考えます。

福祉職は生活を支援します。

私は、この三つをもっと一緒に考えてもいいと思っています。

「この家を借りられるか」だけではなく、

「この人が、この家、この地域で暮らしていけるか」

まで考える。

障害のある人の住まい探しには、そんな視点が必要なのではないでしょうか。


障害のある人の「お金と住まい」の相談について

障害年金、給与、工賃などの収入から、一人暮らしや住み替えが現実的に可能なのかを一緒に整理します。

家賃や初期費用だけではなく、通院、買い物、交通、福祉サービス、住宅内での生活なども含めて、**「その場所で暮らし続けられるか」**を考えます。

一人暮らし、親亡き後の住まい、住み替え、地方移住など「福祉×お金×住まい」に関する相談のほか、講演・研修についてもご相談ください。


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参考資料

国土交通省「住宅確保要配慮者居住支援法人について」

厚生労働省「障害のある人に対する相談支援」

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