成年後見制度は本当に必要?私は最初に「成年後見」の話はしません

何故誰にも相談できなくなるのか

「先生、成年後見制度を使った方がいいですか?」

この質問を受けたとき、私はすぐに制度の説明はしません。

最初に聞くのは、こんなことです。

「息子さん、自分で銀行へ行けますか?」

「ATMでお金を下ろせますか?」

「携帯電話の契約内容は理解できますか?」

「訪問販売が来たら断れますか?」

「家賃は誰が払っていますか?」

「親御さんが明日入院したら生活できますか?」

成年後見制度を利用するかどうかは、この答えを聞いてから考えます。


成年後見制度が必要なのは「障害がある人」ではありません

ここを誤解している人が非常に多いです。

成年後見制度は、

障害があるから利用する制度ではありません。

本当に見るべきなのは、

「判断能力」と「契約能力」です。

例えば、

ASDの診断があっても、

仕事をして、

給料を管理し、

家賃を払い、

スマートフォンの契約内容も理解できる人がいます。

その人に成年後見制度は必要でしょうか。

私は、少なくとも現時点では勧めません。

一方で、

預金を何度もだまし取られる。

契約書の内容が理解できない。

訪問販売を断れない。

こうした状況であれば、成年後見制度が本人を守る手段になる可能性があります。

つまり、

診断名ではなく、生活の実態で判断する。

これが私の考えです。


親御さんが本当に心配していること

相談を聞いていると、

「成年後見制度を知りたい」のではありません。

本当は、

「私が死んだ後、この子は大丈夫ですか。」

これを聞いています。

でも、その質問をそのまま口にできない。

だから

「成年後見制度を利用した方がいいですか?」

という形になっているだけです。

ここを読み違えると、

制度説明だけの記事になってしまいます。


私なら、このケースではどう判断するか

ケース1

58歳の母。

30歳の息子。

知的障害があります。

グループホームで生活。

障害年金を受給。

預金は約800万円。

母親が

「成年後見制度を利用した方が安心でしょうか。」

と相談に来ました。


私はまず、

成年後見制度の説明はしません。

先に、

グループホームの支援体制を確認します。

相談支援専門員は誰か。

お金の管理は誰がしているか。

通院はどうしているか。

本人は買い物ができるか。

ここを全部確認します。

もしグループホームで金銭管理の支援があり、相談支援専門員とも継続的につながっているなら、

私はすぐには成年後見制度を勧めません。

逆に、

預金管理が曖昧で、高額な契約を一人で結ぶ可能性があるなら、

成年後見制度を具体的に検討します。

同じ「知的障害がある方」でも、答えは変わるのです。


制度ではなく「生活」を見る

成年後見制度は、

財産を守る制度です。

しかし、

人生を支える制度ではありません。

働く場所を作ってくれるわけでもない。

孤独をなくしてくれるわけでもない。

毎日の食事を用意してくれるわけでもない。

だから私は、

成年後見制度だけを考えることはありません。

住まい。

就労。

地域とのつながり。

障害年金。

相談支援。

その中の一つとして成年後見制度を考えます。


福祉特化FPとして

親亡き後問題は、

制度を選ぶ問題ではありません。

暮らしを設計する問題です。

成年後見制度が必要な人もいます。

必要ない人もいます。

大切なのは、

「障害があるから利用する」

ではなく、

「この人の生活を守るために、本当に必要か」

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